自分の心のクセを知る
コミュニケーションチーム作り 2022.03.17
3月は人事異動の時期でもあり、また4月に向けて新入職員の受け入れ準備が始まる時期でもあります。同じ組織の中で初めて一緒に仕事をするという人との出会いも多いでしょう。
人は人を判断するときに、無意識に自分の「見たいもの」だけを見るというクセがあります。心理学ではこのようなクセを「認知バイアス」と言いますが、「認知バイアス」とは、偏見や先入観、歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解など幅広くさす言葉として使われています。
例えば、人は自分と同質のものを好むという脳の傾向があるので、自分が得意なことやできることを自分の部下や後輩が同じようにできると優秀だと思うバイアスがかかります。逆に、自分の才能とは違う力を発揮する部下を見ると、理解できない異端児として捉えてしまい評価を下げたり、その力を認めなかったりするバイアスがかかりやすいです。
また、よく支店と本社の意思疎通がうまくいかない、もしくは共感がうまれないという問題を相談されることが多いのですが、人は現在経験していること感情に共感するというバイアスがあります。これは、自分が所属している集団(内集団)やその集団メンバーのことをそうでない集団(外集団)やそのメンバーよりも好意的に評価し、ひいきをするという内集団バイアスがかかっているからです。このような自分の「心のクセ」を治すには「メタ認知力」をあげることが重要です。
「メタ」とは「より高次の」という意味で、自分自身が認知していることを客観的に捉える力です。よく心理学では、第3のポジションとも言いますが、俯瞰して自分を見ることができれば自分を客観的に理解ができ「今、自分はなぜ、このように考えているのだろう。見えているのだろう。」と、そのバイアスを見つけることができます。そのような自己分析ができるようになるので、バイアスを外すことができるようになるのです。バイアスが外れれば、人や組織やお客様をニュートラルに見ることができるようになり、相手を理解する力が高まり、共感の場を創り出すことできるようになります。
21世紀は「人間力」回帰とも言われますが、「人間力」を高めるためにも相手の立場や相手の力を理解し、相手を思いやり、相手の強みを活かし、そして自分の力を正しく理解することがとても大切になるのではないかと思います。
まさにこれからは「協働」の時代です。自分の認知バイアスを理解し、バイアスをなくしていくことで、より良好な人間関係、そして幸せな職場を築くことができるはずです。
4月には、新入職員がコロナ禍の中、人との関わりを制限された学生生活を終えて、社会人として希望を持って皆さんの職場に入社されます。彼らたちの未来に影響を与える皆さんがより「人間力」を高め、未来を語ることで「働くことの幸せ」「人と出会うことの幸せ」そして「今ここにいる幸せ」を感じさせてあげて下さい。相手に良い影響力を与えるためには、自分が変わること、成長することが一番の近道です。
株式会社シー・マインド 宮道京子