サッカー日本代表に見るチームビルド

コミュニケーションチーム作りマネジメントコーチング 2022.12.14

  

1993年にJリーグが開幕してから29年。その当時、私はまだテレビ局で勤務をしていたので、日本サッカーの新しい時代が始まったことを痛切に覚えています。テレビでも多くの試合が放映されるようになりました。その当時、サッカー日本代表がワールドカップに行けると信じていた人はどれだけいたでしょうか。2022年ワールドカップの日本代表を率いる森保監督は、プレイヤーとして「ドーハの悲劇」の場にいました。1993年にアジア地区予選、初のワールドカップを目指していた最終戦、後半ロスタイムに失点し、出場権を逃したのです。今でこそ、ワールドカップに出場することはあたり前になりましたが、いつの時代もその足掛かりとなる失敗を経験した人たちがいたこと、そしてその悔しさを次世代に繋げる人たちがいるからこそ、1つずつ階段を上っていくことができ、新しい景色を見ることができるのです。

今回の日本代表チームをみていると、これからのチームビルドのヒントがたくさん見つけられます。メッシや、ロナウジーニョのようなスーパースターがいなくても、ベンチにいる選手も含めて26人で戦えば、強豪チームに勝てるということ。また、スペイン戦のようにボールの支配率が全体の17%くらいであっても、その少ないチャンスを日本チームの強みであるスピードをフル回転させ決定率をあげれば、短い時間を活かして勝てるということ。そして、監督の采配がいかに大切か、任された選手がそれぞれの力を最大限に発揮できることいかに大切か、日本チームの戦いを見ていると気づかされることが多くあります。ただ、表面的な勝利の法則はこのようなことですが、森保監督の「あり方」は今のリーダーの皆さんが学べることがたくさんあります。批判されても、メンタルを強く保てること、常に選手を観察し少しでも変化があれば明確なフィードバックをすること、時には、戦うための戦略も選手がフィットしないと言えば、選手からの意見をしっかり聞いてボトムアップで戦略さえも変更できる柔軟さがあること。

そして、選手から圧倒的な信頼を得て、常に選手に感謝の言葉を1人1人に声かけしていること。

もちろん、今のスポーツの世界では精神論だけでは勝てないため冷静な分析もAIを活用して戦略に取り入れられています。

「ドーハの悲劇」が「ドーハの歓喜」に。そして強豪チームに勝利できたことは「偶然」ではなく「必然」に。失敗から学び悔しさから未来を見据え、監督は自分たちの時代よりも、はるかに海外で貴重な経験を重ね学んだ若手選手の考え方を取り入れ、そして選手と監督との関係は信頼関係で繋がり、選手同士もお互いをリスペクトしあう。ベテラン選手は若手選手のためにチームを盛り上げ、若手選手は自信をもって、チームのために自分の強みでチームに貢献する。2022年の最後のコラムで、このような内容を書かせていだける日本チームに感謝します。スポーツの世界でできているマネジメントを民間企業ができないということはありません。学べることはどんどん学び、自らの組織に活かしていったほうが良いのではないでしょうか。

「チーム」とは、喜びも悲しみも、時には苦労も共有しあえる素晴らしいものであると改めて実感しました。

 

株式会社シー・マインド 宮道京子