野村AM 地域銀の退職者助言を支援〝60代だけ〟新部署が始動
組織・体制高齢者対応 2025.07.11野村アセットマネジメント(AM)は、地域銀行向けにリタイアメント層への助言の仕方などをサポートする事業を開始する。4月に発足した「リタイアメントソリューション部」が中心となり、6月から提案を本格的に始めた。
同部は中村浩司部長(金融リテラシーソリューション部長を兼務)と、60歳以上で定年経験がある「リタイアメントアドバイザー」7人で構成。自らの経験を踏まえ、高齢者との会話方法や、ヒアリングの仕方、資産活用の考え方などを地域銀に伝える「伝道師」の役割を担う。具体的には、同部のメンバーを、地域銀の預かり資産営業担当者向けの勉強会やリタイアメントアドバイス研修に講師として送り込む方針だ。
定年に近い50代後半かそれ以上の世代向けのセミナー開催も支援する予定。同部のリタイアメントアドバイザーが直接、顧客に対して資産活用の考え方を説明する。
少額投資非課税制度(NISA)などにより資産形成層には資産運用の考え方が浸透したが、野村AMは退職前後やそれ以上の世代には十分に理解されていないことが課題だとみている。中村部長は「インフレの影響で、実質的な資産価値が目減りしかねない」と懸念。そこで、積み上げてきた資産を有効に運用しながら取り崩していく「デキュムレーション」の理念を広め、高齢者がリタイア前後から抱く不安を解消することを目指す。
アドバイザーの1人である茂木大輔エグゼクティブ・マネージャー(63)は、これまでにセミナー講師を2400回以上務めた経験を踏まえ、若い人に対するのと同じセールストークは高齢者には響かないと指摘。「漠然とした老後不安を持つ人ができる限りアクティブに過ごすためにも、『使いながら運用する』考えを伝えることが大切」と強調する。他のアドバイザーも、証券会社や運用会社で経験を詰んだスペシャリストだ。
中村部長は「当部の活動でお客さまの声をしっかり聞くことにより、将来的には本当に皆さまに役立つような商品開発にも生かしたい」と展望する。当面、30~40行での実施を目指す。
