人間力を高める -1- メンタル不調を防ぐ(上)
メンタルヘルス 2021.07.12ストレスの元は環境変化
職場で高いパフォーマンスを上げ、魅力あふれる存在になるために不可欠なのが、優れた“人間力”。専門家への取材をもとに、職場や仕事だけでなく、日々の生活にも生かせる人間力を高めるためのスキルや知識を紹介する。
本号から3回にわたり「ストレス解消・メンタル不調を防ぐ」をテーマに連載する。業績目標やコロナ禍に伴うストレスの増大でメンタルヘルス対策の必要性は急務。企業内カウンセラーとしての経験を生かし、行政や大手企業など年間120件以上の講演・研修をするほか、約20万部のベストセラー「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」(サンマーク出版)などを著書に持つ日本メンタルアップ支援機構の大野萌子代表理事(産業カウンセラー)に話を聞いた。
「悪いもの」「辛いもの」と思われがちなストレス。しかし、その原因であるストレッサーは基本的には「変化」であることを覚えておこう。楽しいこともうれしいことも、自身の生活環境に変化が及ぶことは、全てがストレスの元となる。私たちは常にストレス状態にある。変化がストレスの元であるという明らかな例は「五月病」だ。年度替わりで異動や仕事などに大きな変化がある3,4月に、忙しさにかまけて長期間リフレッシュを怠ると1,5カ月後の5月に心身に不調が表れてくる。
ただし、ストレスはある程度あったほうが生き生きと過ごせるのも確か。ストレス過少の状態では生きる気力がなくなるからだ。とはいえ、コロナ禍の現在は変化が多く、ストレス過多状態にある。環境変化に応じてストレスと上手く付き合うことが重要だ。
ストレス蓄積のサインは「家の鍵は閉めたかな」「火は消したかな」といった生活のなかの些細な心配ごとが生じた時。誰にでもある心配ごとだが、突然頻繁(ひんぱん)に起きた時はストレスがたまっていると認識しよう。
心の不調が先に身体に表れる場合もある。寝付けない、眠りが浅い、途中で何度も起きる、深夜に起きてそのあとは眠れないなどの症状が急に出ればストレスが蓄積している証拠である。
▼次号はストレスを軽減する方策を紹介します。