金融機関の今後の役割「本業支援」を考える
事業継承 2021.07.15金融機関の再編が始まっている現在、今後金融機関としての役割として「本業支援」は避けて通れない課題の1つだと思います。私自身も、研修講師という仕事と両輪で医療経営のコンサルティングをしています。コロナ禍の影響でこの1年半は、医療経営においては大打撃な時期となりました。開業されている先生が追加融資を受けるとき、ほとんどは拡張における融資か、高額な医療機器の導入などで前向きな融資しかありませんでした。しかし、今回は売上減による融資のご相談が多く、特に小児科や眼科、内科の先生たちは本当に大変な1年半だったと思います。最近になって、ようやく患者様の外来も増え昨年よりは経営も安定してきました。
先生たちとお話をしていますと、今回の経験を踏まえ経営における改革が必要だとご相談を受けることが多いです。まさに、今までのままではいけないという危機感が良い意味で先生たちに芽生えたと思います。それは医療経営だけではなく、あらゆる企業で課題となっていることで、金融機関様自体の改革ももう待ったなしの状況であることは間違いありません。
トヨタ自動車は、このコロナ禍の中で売上、利益においてもV字回復しています。トヨタは、明確なビジョンを描きまさに変革の真最中です。トヨタのCMを見ているとよくわかるのですが、トヨタは「車の量産から、幸せの量産へ」「人中心」「100万人の雇用を守る」などを繰り返し「トヨタイムズ」という情報発信ツールから理念を訴え続けています。また水素自動車でのレース参加や、未来の実証都市「Woven Ⅽity」という街で壮大な実験を行うなど新しいことにチャレンジし続けています。名古屋にいる私自身は、やはりトヨタ自動車の動向を常に目を向けていますが、レガシー企業といわれているトヨタ自動車から学ぶことは本当に多いです。
「本業支援」は、まさに企業の構想からお手伝いすることがベースになっていきます。まず、その企業の本質的な問題点を洗い出し、未来に向けてどのような事業をしたいのかを徹底的にビジョンづくりから参入する必要があります。
資金繰りであったり、事業承継であったり、目先の問題は見えやすいのですが、経営を「デザインマネジメント」するには相当大掛かりな価値基準の変化をマネジメントする必要があります。「本業支援」の本質は、お客様と一緒に新しい価値デザインをしていくことにほかなりません。だからこそ、これから私たちは常に学び続け、実践し続け、分析し続け、未来を描く力、考える力を向上させていくことが重要になっていくのです。「本業支援」をすることで金融機関様自体の「デザインマネジメント」の必要性にも気づかれると思います。皆様のそれぞれの地域においてどのような金融機関でありたいのか、そしてどのような「本業支援」をしていきたいのか、コロナの影響があったからこそ真剣に考え、ビジョンを描き、実行する時なのだと思います。そして「本業支援」できる人材育成を真剣に考える時なのだと思います。
【本業支援研修】
事業承継・ブランディング・課題解決・デザインマネジメントの考え方など、さまざま なコンサルティングの方々が本業支援のあり方についてお教えします。
株式会社シー・マインド 宮道京子