人生100年時代のキャリアの考え方

モチベーション向上ワークライフバランス 2021.09.15

「あなたは何歳まで働きたいですか?」

  

 最近よく色々な方々に問いかけます。

 経営者の方々もいらっしゃれば、40代から50代の組織で働いていらっしゃる方にも問い続けています。私の組織は中小企業診断士のメンバーで構成されているため、コンサルタントとしてお聞きする場合もあれば、診断士の資格をもった方々が独立される際のご相談の際にお聞きすることがよくあります。驚くことに、ほとんどの方が70歳から75歳くらいまでとお答えされます。昔は定年退職すれば悠々自適にのんびりと考える方がほとんどだったのではないでしょうか。私自身も20年前に独立しましたが、今は健康であればできる限り仕事を続けていきたいと考えるように変化しました。自分自身でも驚いています。「幸福学」で研究では、人は仕事をしているほうが幸せであるという結果を出しています。幸せの観点から考えても働く時間はこれからかなり長くなっていくのではないかと思います。

 これからの長いキャリアを考えることを多くの人は苦手だと感じています。目の前の仕事に忙殺され、考える余裕などないという声が聞こえてきそうです。しかし、これから仮に70歳まで働くのが当たり前の時代になったとしたら、キャリアを真剣に中長期的なビジョンでとらえ自分でデザインしていくことが大切です。そして、自分のキャリアに戦略を持つことも大切です。

 ベストセラーになった「ライフシフト」(東洋経済新報社)の中で、著者のリンダ・グラットン教授らは「長寿化時代には人生の設計と時間の使い方を根本的に見直す必要があるのだ」「あとで変化を突きつけられるのではなく、いま変化を予期して行動することだ」というメッセージを伝えています。そのためには、常に自分自身の棚卸をし、何が強みになって、何が足りないのかをしっかりと分析しながら、現在の仕事からも何を学ぶのかを目的をもって行動することが大切です。そして、これからの時代さらに何を学んでいきたいのか、自分はどのような働き方をしたいのかを問い続け、会社以外のコミュニティにも積極的に参加し、色々な価値観に触れることも大切です。

 先日、YouTubeで93歳の男性がマクドナルドで働いているニュースを見ました。世の中の反応は賛否両論ですが、私は、その男性が前向きに楽しみながら働いている印象を受けました。長いキャリアデザインを考えていく際に、この男性のように「働くこと」への心理的満足感があるということは、とても重要なことです。心理的満足感がなければ働くこと自体がやらされている感でストレスになるからです。

 人生100年時代には、いつも「主体的」という言葉がついてきます。キャリアデザインも主体的であってこそ、前向きな行動が続けられると感じます。何歳からでも遅くはなく、キャリアはいつも道の途中であって、その先にどのような道を作るのかは、あなた自身だということに気づいていただけると嬉しいです。 自分の資本力を磨き続けこの長い道のりを楽しんで進んでまいりましょう。

 

株式会社シー・マインド 宮道京子