リーダーの影響力

マネジメントリーダーシップ 2021.11.15

 コロナ禍のなか総選挙も無事に終わりました。今回の選挙は「風が吹かなかった」というような声が聞こえてきますが、選挙でいう「風」というのはまさに無党派層に各政党がどのような影響力があったのかを問われる言葉だと思います。影響力は目に見えないからこそ怖くもあり、逆に新しい風を吹かせる原動力ともなりえます。

 他人に影響を与えるとは「場を支配する」ということですが、権力だけの影響力ではなく「場を動かす」もしくは「人を動かす」コミュニケーションでの影響力も、これから組織を動かすうえでさらに大切になっていきます。

 人は、同じ内容でも信用した相手の話には耳を傾けます。上司と部下の関係性にはお互いの「信頼」がなければ相手はなかなか動いてくれません。信頼関係の構築には時間がかかります。だからこそ積み木をつみあげるように、コツコツとお互いに日々、信頼残高を増やす必要があります。関係性ができあがっている相手には影響力を及ぼしやすいのです。

 また、人は同じ内容でも「自分と関係がある」と思った話にしか興味を持ちません。自分にとって役に立つ話である、価値があると感じた話には耳を傾けます。つまり自分事として受け取れる内容であれば影響力を及ぼすことができます。

 影響力のあるリーダーは、部下が「どのようなことを学びたいのか」「どのようなことをやってみたいのか」をよく知っています。だからこそ、その欲求にスイッチを入れるようなコミュニケーションをとり行動をおこさせます。相手の関心に沿いながら現在の仕事を「自分に関係がある」と感じてもらい、前向きに動いてもらう影響力をもっているのです。

 影響力はもちろん言葉だけではありません。言行一致していなければ、すぐに信頼残高は減少してしまいます。今回の選挙は世代交代選挙とも言われています。ベテラン議員の多くの方々が小選挙区で落選ということがおこりました。いくらベテランであっても何をしているのか行動が見えにくい、もしくは言行一致しているように感じない、言葉が伝わってこない、人間力を感じられないということがあると、今の時代のリーダーは、影響力を与えることができないのかもしれません。まだ実績がない若手であっても、その言葉や行動に未来を感じる、自分を新しい世界へと導いてくれるという期待ができれば、人を動かすことができます。

 影響力とは「他人を大切に扱う」ことが原則だと思います。周りの人を大切にすることによって、リーダーは色々なことを学ぶことができます。そして、自ら自分の力を使ってほしい部下が多く集まれば「場は動く」のではないでしょうか。若手であっても、未来を託したいと思う上司や同僚が集まれば「場は動く」はずです。

本当の影響力とは、他者に「対して」ではなく、他者を「通して」行使されていくことではないでしょうか。

 そして、影響力を磨くことによって、より良い時代を切り開いていくリーダーがどの世代からも出てくることが課題でもあり、願いでもあります。

  

株式会社シー・マインド 宮道京子