中国地区信金協、北門信金室長に再生支援学ぶ

事業性評価取引先支援 2021.11.12

 【広島】中国地区信用金庫協会(武田龍雄会長=広島信用金庫会長)は11月5日、伊藤貢作・北門信用金庫企業支援室長(50)から学ぶ勉強会を開催。「事業性評価シートの作成は時間の無駄」など本音の指摘に信金職員らが聞き入った。

再生支援の課題を話す伊藤室長(11月5日、広島市)

 中国財務局との年1回の合同勉強会で、テーマは「コロナ下の再生支援」。伊藤氏への講師依頼は、同氏が、①島根銀行に企業支援を教えるため山陰を毎月訪れている②39歳で入庫するまで多くの企業に勤めた――ことが決め手となった。受講者は管内全20信金の各2人(支店長と本部の再生支援担当役席)、財務局の20人ら計66人。

 「コロナ禍により、後継者不在など地方の課題を先送りできなくなった」と伊藤氏は話す。自信金の例を紹介しつつ、事業承継支援や債権放棄などの必要性を強調。問題点として「評価シートやローカルベンチマークで企業は良くならない。非効率だからやめるべき」「人員カットを迫れば企業は続かない。むしろ人材投資を勧めるべき」と挙げた。

 「国税や許認可、規制のグレーゾーンが再生を妨げる」と制度論にも言及。①固定資産評価額が市場価格より高過ぎて売却できない②事業買収で生じる「のれん代」の償却が5年でしか認められず債務超過になる③宅建士など登録資格者の人数要件を満たせない――といった問題で「特例も必要」と指摘した。