青い森信金 取引先の業務を体験学習 丁稚研修に延べ300人超

人材育成 2022.11.18


青い森信用金庫(青森県、益子政士理事長)は、企業に取引店の職員を派遣し、取引先の日頃の業務を体験学習してもらう「丁稚(でっち)研修」を行っている。職員の事業に対する目利き力を高めるために2017年度にスタート。派遣職員数は延べ人数で300人を超えた。

写真 牛に餌やりをする太田さん(11月2日、西村牧場)

取引先の事業性評価に力を入れるため、2017年度に「異業種交流研修」として開始し、2020年度から「丁稚研修」としてリニューアル。研修の目的は、「庫内では指導できない現場での目利き能力の強化」「他業種や他企業での経験による視野拡大」「知的人脈の形成」。参加者は当初、渉外担当の若手男性職員が多かったが、近年は渉外や窓口を担当する女性職員も派遣されている。

鮫支店の太田優希さん(26)は、入庫4年目の渉外担当。11月1・2日に取引先の西村牧場に出向き、現場の作業を手伝った。同牧場では、子牛を含めて140頭の黒毛和牛を飼育し、飼料米の生産、販売も行っている。

丁稚研修では、金庫の勤務時間をベースに、取引先の実働時間に合わせて働く。太田さんは8~17時の時間帯で、従業員から作業を教わり、餌やりなどを行った。日頃の活動で面談するのは社長や専務が多い。「従業員の方々と話すことができ、親交が深まった」と笑顔を見せる。

西村牧場の従業員、田名邉真理子さんは、今回の研修受け入れについて「牧場のことを私たちが説明するよりも、(現場体験をしてもらえば)分かってもらえるのではと思った」と動機を話す。元青い森信金の職員でもあり、「(信金職員が)ほかの農家を訪問した時に経験が役に立ってくれれば」とも。

 中村将人支店長は、「丁稚研修の前と後では、職員の顔つきが全然違う。経験は後で必ず生きてくる」と、期待を寄せる。22年度は43人(43社)を見込む。複数回派遣された職員もおり、延べ人数は11月2日現在で311人を数える。派遣先の業種は、運送、中古車販売、産業廃棄物、教育、飲食、保育、電気工事、宿泊、サービスなど多岐にわたる。