玉島信金 視野広げる海外修行 主体性を育てる

モチベーション・意識改革 2023.12.22

「世界の変化を体感し成長してほしい」――。玉島信用金庫(岡山県、宅和博彦理事長)は独自の海外研修制度「セルフイノベーショントリップ」を創設し、職員のキャリア形成を後押ししている。11月1~8日に第1号の職員がフランスへ渡航。信金職員が海外で学ぶ意義とは。

異文化から学べ

同制度には希望者自らが海外視察を企画・実行をするため、職員の主体性を育てる狙いがある。期間は約1週間で、渡航費用のうち30万円は同信金が負担する。

制度利用第1号は、経営企画部の高橋直子さん(2006年入庫、39歳)。事業者支援で連携する通関士から「盆栽PR事業」の相談を受けたことがきっかけで、フランスで開催する盆栽イベントへ同行することに。「併せて異文化に学んでくるといい」と宅和理事長らが後押しし、制度の利用して8日間の海外研修が決定した。

険しい事前準備

行き方から視察先の選定まで全て自分で準備。インターネットで情報収集し、現地企業や金融機関などの6先へ視察を取り付けた。

盆栽イベントの準備も並行。取引先の伝統工芸品「組子」や「備前焼」などを紹介するブースを発案し、フランス語のチラシも自作した。

仏で茶道を披露

フランスでの8日間は、視察やキャリアインタビュー、イベント運営など盛りだくさん。11月5日にニース国立東洋美術館で開催した盆栽イベントには、約3千人が来場。「日本文化の人気を体感し、取引先の海外展開へ可能性を見出した」という。高橋さんは来場者の案内のほか、茶道を披露し日本文化の発信へ貢献した。

フランスで茶道を披露した高橋さん(左、11月5日、ニース国立東洋美術館、高橋さん提供)

高橋さんは「恥をかきながらでも、新しい経験に飛び込んだことで自信がついた。フランスの考え方や働き方にも触れ、同じ地域・企業文化で育った信金職員の視野を広げてくれた」と振り返る。今回の研修をきっかけに、フランス語の勉強を始めた。今後は「海外研修を一から企画したことで、現地でのコーディネート力がついた。取引先へ海外視察などを主導していけたら」と意欲を語った。