最適化するということ
マネジメント 2025.03.19日本の労働生産性は、かねてから主要先進7カ国の中では最下位が続いています。
そもそも労働生産性とは、「インプットした資源に対してどれだけアウトプットが生まれたか」を表す指標です。最小限の労力で最大限の成果を出す力とも言えますが、AIの進化により、その力の格差が企業の戦略によってさらに大きく拡がっていくことになるでしょう。
日本の労働生産性の低い理由は、付加価値を生み出す力が弱いこと、1つの仕事に携わる社員数が多く、時間をかけすぎていることなどがあげられています。アメリカやドイツと比べるとこの格差は顕著で、そのため日本の賃金水準が諸外国と比べて低い理由にもなっています。経営者層の方々が、組織の「最適化」に向かって真剣に取り組まなければ、この歴史的な時代の変化のなかで淘汰される危機につながる可能性もあります。
私は、いつも研修の中で、現状の仕事の忙しさを受講生の皆さんに分析していただきます。その忙しさは、内部的な仕事から派生しているのか、それともお客様にむかって派生しているのか。そして、その忙しさは、しっかりと利益に繋がっているのかと。私たちは、「忙しくて時間がない」と、ついつい愚痴をこぼすことが多いですが、では時間をつくるために現在の運用ツールを、本当にしっかりと見直し最適化しているかといえば、なかなかそのスピードがあがりません。「部下を育成したいが、その時間がない」ともよく耳にします。今日、部下を育成しなくても、それほど労働生産性に影響はありませんが、1年、2年と時間が過ぎれば過ぎるほど、労働生産性への影響は大きくなります。
長期スパンで考えれば、本当に向かうべき方向性は明らかに見えているのではないでしょうか。時間を宝の時間に変えるために、何を改善していく必要があるのか、そして行動の優先順位を明確にして結果にコミットしていかなければなりません。経営戦略としての最適化はもちろん大切ですが、1人1人の行職員の皆さんの「働く」ことへの認識もシフトしていかなければならないはずです。会社が変わってくれないから、確かにそれは大きな要因ですが、自分自身の「最適化」は自分でスタートするしかありません。「他律」から「自律」へ。まさに自分事として自分の労働生産性を上げていくのです。そのためには今、何に取りかかる必要があるのか、そして何を学ぶ必要があるのかと自問しながら、ご自身の時間給を上げていくことを考えていただきたいと思っています。
私はこれからの時代に期待しています。もともと、日本のサービスや商品はクオリティが高く、世界の中でもトップクラスだと感じています。今まで、私たちがしてきた仕事は決して無駄なことばかりではなく、高付加価値をうみだす転換へのスップだと捉えましょう。そのためには今日の「改善」からスタートしましょう。
株式会社シー・マインド 宮道京子